純文学

  •  雨の音で目が覚めた。  暑さでだるくなった身体を起こすと、寝るとき身体にかけたタオルケットがベッドの下にずり落ちていた。枕もとの時計は、午前2時過ぎを指している。蒸した部屋の空気の中で私の目... 続きを読む
  • 頭が痛い 昔から僕は気分が優れないと 頭が痛くなる 社会人2年目 僕は仕事が極端にできない 上司からはもっと頭を使って 仕事をしろと怒鳴られるが それが難しい ... 続きを読む
  •  灰色の空の下,横断歩道を挟んだ向かいに彼女は立っていた.白いダッフルコートに身を包んだ彼女は,いつかのように微笑んでいた.辺りは彼女以外の人はいなくて,閑散としている.無骨な背の高いビルや等間... 続きを読む
  •  後で言いたかったことなんてこの微かな朝靄と同じような気がしてしまうんだ。 「どうしてなんだろうね」  どうしてなんだろうね。 「たいした大人になれなかったのかもしれないね」 ... 続きを読む
  • 一つのベンチに一緒に座る。 友達、恋人、親子、知らないひと。 ベンチに座る二人の距離は心の距離。 ぴたっとくっついて座る他人はいないし、 端と端に座るカップルはいない。いたとした... 続きを読む