純文学

『ベランダとアイスティー』 SENSE 0 1

　灼熱の太陽がアスファルトに反射するこの季節、一時の安らぎを与えるように、月明かりが優しく降り注いでいる。　少し涼しい夜風がそよぎ、ベランダの手すりはひんやりとした感触を帯びていた。... 続きを読む
『May day』 SENSE 0 0

　並木道が薄紅色に染まり、少し歩くと汗ばむほどに温かい空気が街をラッピングする。中学3年になった祐二にとって、春という季節は「再生」と「希望」を託す暦であった。　「クラス替え」に対す... 続きを読む
『ヒロイン』夜と藍 0 4

　ヒロインが羨ましい。昔からずっとそう思っていた。ただ悲しみに溺れるだけで読者は同情し、王子様が現れれば読者は歓喜する。たいした能力がなくたって、運が良ければハッピーエンド、ビターエンドだってフ... 続きを読む
『～ALIEN～』 SENSE 0 1

「できましたら、もうこちらには来ないでもらえますか」　初美の前で、軽く頭を下げながら、カクカクとした敬語で喋る老婆。数ヶ月前、たった数ヶ月前まで、この老婆は初美の「家族」だった。 ... 続きを読む
『砂糖　～POISON～』 SENSE 2 2

　ティーバッグを浸す時間1分。陶器の蓋をして、芳醇な香りが充満したダージリンをカップに注ぐ。スティックシュガーは1袋の半分だけ。　華やかな香りの湯気にうっとりしながら、きらき... 続きを読む

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