『「勝手にされた」No.77』

すっかり疲れてベッドで寝ていた。

ちょうど壁ぎわの方に寝がえりうった時だ。

後ろの方で何やら荷造りをしている気配がしている。

それを僕は背中できいていた。

やっぱりお前は出て行くんだなと。

悪いことばかりじゃないと、想い出かき集め。
ってちょっと待てよ。

ここは僕が独り暮らししているマンションだよ。

まさか幽霊かよ。

なんでこんなもんいるんだよ。

行ったきり帰ってこなくていいです。

せめて少し落ち着かせてくれ、寝たふりしてる間に出て行ってくれ。

アア アアア アアア アア
アア アアア アアア アア

バカボンのマクラを抱いて、夜ふけの窓に立つ。

白い着物を着たお前がふらふら行くのが見える。

さよならというのもなぜか、おかしい感じだし。

かと言って、あばよとサラリと送ってみるか、なんて訳にもいかない。

別にふざけて知らないふりをしていたわけじゃない。

霊感のなさに驚いてただけだよ。

ものすごく怖いので、夜というのに派手なレコードかけて、朝までふざけようワンマンショーで。

アア アアア アアア アア
アア アアア アアア アア

夜というのに派手なレコードかけて、朝までふざけようワンマンショーで。

アア アアア アアア アア
アア アアア アアア アア

     ほな!

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