『マスクの人生』

私は真っ暗しか知らない。
なんでかって? 確かに工場の中は一瞬見たけど、透明なフィルターに包まれて、箱の中に引きこもってずっと待ってる。
前と後ろでぎゅうぎゅうに詰められるから息苦しい。
こんな退屈で苦しい世界をどうにか抜け出したい。

ずっとずっと待っていた。
前の人がいなくなって、息は出来るようになった。
確か、"扉"空くんだよな? ドキドキする……緊張する……。
時間はいつ経ったんだろう?
遠くでしか見たことないけど、巨人がいたような……。
曖昧だからわからない~~!
乾いた音がした。"扉"が開いたんだ。
肌色の不気味な生き物が私を掴み、離さなかった。
キモくて苦手な形。しかし、それは巨人の一部と知ったのは視線が合ったときだった。
やっぱり噂通り、不気味。
しかも近づけてくる。
1m、30cm、10cmと来て、0mmになってくっついた。
しかも、僕の手がどこかに引っかけて、もう二度と離さなくした。

巨人と家を出て、しばらく離さなかった。
離れたのは赤い棒状のやつを銀色の武器で巻いているときだけだった。
久しぶりに家に帰れた。
何もかもが新鮮で驚きの連続だった。
心臓持たないな。
でもワクワクして、道の世界って感じで……。
旅行に浸ってると巨人はドライな反応をする。
何かに引っかけた僕の手を触って取られた。
一秒以内に巨人とは1m以上離れた。
そして、グレーの"扉"が開いて、落ちるように入らざる終えなかった。
その世界は激臭を放ち、逃げたかった。
でも動けないから、マスクって動けないから……。
巨人を恨んだ。体を汚して、最後に異臭のする場所へ入れられる。
でも、旅行楽しかったなぁ。
息できなくて死にそう。死ぬかも。
少し寝てみよう。嫌なことを忘れられるかもしれない。
あれから、目を覚ますことは二度となかった。

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