『神の御業』

収容所の窓から日が差し込むと、異教徒達は一斉に祈り始めた。
ここから出してください、子供を生かしてください、食べ物をもっとください、そんな声が聞こえてくる。
祈りの内容は様々だが、誰一人として祈らない者はいなかった。
数日前、無気力になって、日の出の時に祈らなかった幼い子供がいた。
その様子を見た人々は、幼い子供に怒り、一斉に咎め始めた。
それは看守の目から見てもあまりに残忍で、思わず止めに入るほどだった。
それからその子は震えるように祈り続けている。

辺りが暗くなり、星が見えるまで祈りは続いた。
そして日が沈むと、異教徒達は一斉に祈りをやめた。
それからは、放り込まれた食べ物を貪ったり、横になったり、なにをするでもなくぼーっとするなど様々だった。
彼らにとって神とは太陽であり、その姿が見えているうちは祈り続け、姿が見えなくなるとそれぞれが好きなことをする。それは無宗教の人から見ると異常な光景だった。

ある日、夜明けが近づく頃、収容所が騒がしくなった。牢屋の前を何人かの人が慌ただしく通り過ぎ、看守達までどこかへ行ってしまった。
しばらくすると静かになり、屈強な男が走ってきて牢屋の鍵を開け、息を切らしながら言った。
「無事か、あんた達!」

少し前、屈強な男と脆弱な男が酒場で夜を過ごしていた。あそこは楽しかった、次はここに行こう、と楽しそうに話している。
すると、隣の席の男達の話が聞こえてきた。
「ところでさ、あの収容所の異教徒達は———」
屈強な男がいきなり立ち上がった。
男達は驚いて、脆弱な男だけがやれやれという顔をしていた。
屈強な男が眉を寄せて男達に言った。
「その話、詳しく教えてくれ。」

屈強な男は急いで車に乗り、脆弱な男もそれに続く。
エンジンをかけると同時に脆弱な男が言った。
「本当に行くのか?」
屈強な男はこたえる。
「当然だ。救いを求めているなら手を差し出すべきだ。」
「だが聞いただろ。相手は宗教持ちだ。お前が助けたって———」
「それでもだ!」
脆弱な男は説得を諦め、自分は行かないことを伝えて眠った。

脆弱な男が目を冷ますと、思っていた通りの光景が広がっていた。
解放された異教徒達は、涙を流しながら感謝の言葉を次々と述べ、屈強な男はそれを聞いていた。その顔は複雑な表情だ。
脆弱な男が言った。
「だから言ったろ。宗教持ちを助けてもだいたいこうなる。それともお前はこれが見たかったのか?」
屈強な男はこたえる。
「さあな、わからない。だがやりたいことはやった。」
そう言って、二人は異教徒達を見る。
日はすでに昇っており、その光に向かって異教徒達は感謝の言葉を次々と述べていた。
彼らの残酷な背中だけが、二人を向いていた。

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