『「エゴ」No.6』

四つん這いの奴がいる。
二本足で立ってる奴がいる。
木だ大きな木だ。草原、サバンナ、オアシス、遠くに山もある。

太陽は二重丸、遠くで砂煙り。

四つん這いも二本足も木も、笑っている踊っている歌っている。
魂を揺さぶれ、体も揺さぶれ。

太陽は二重丸、遠くで砂煙り。

「パンッパンッパンッ」

銃声がした。
四つん這いが逃げた。
二本足も逃げた。
木は沈黙した、風が止んだ。

太陽は二重丸、遠くで砂煙り。
大人の呻き声、子供の叫び声、銃声と爆発音
赤く染まる土。

静寂。

ハエが増えた。
異臭がすごい間に合わない。
息をしないかつての生き物が、其処彼処にゴロゴロゴロゴロ。

太陽は二重丸、遠くで砂煙り。

新しい政権、新しい大統領、新しい国。
四つん這いはもういない。
二本足はどうだ。

木は沈黙。

道路とビル、車と列車、工業と商業。

太陽は二重丸、遠くで…

                ほな!

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