転校生が来た。
転校生は転校生してきた日だけ学校に来た。
転校生は二日目から来なくなった。
家が近かった私は、大切なお知らせのプリントなんかを転校生に持って行った。
転校生はカラダが弱いらしい。
私は至って健康なので、気の毒に思った。
彼はカラダを悪くしたので、私たちの住む田舎街に引っ越して来たのだという。
空気が良いので恐らく来週から学校に行けると。
それは良かったね。
次の週、二度目の登校。
気恥ずかしいだろうから、一緒に登校した。
彼の柔らかい人柄に皆惹かれた。
三日もすればみんなお友達になった。
一週間を過ぎれば人気者になった。
もう私が心配しなくても大丈夫。
病気の具合もいいみたいだし。
登下校はまだ何となく一緒だった。
彼が柔らかい人柄だったので、私たちの事を茶化したり冷やかしたりするクラスメートはいない。
私は帰り道で急に胸が痛くなった。
次の日、学校を休んだ。
病院に検査に行った。
数日したら結果が出る。
学校に行きたい、彼に会いたい。
数日後、結果が出た。
精密検査が必要になり、都会の大きな病院に検査入院した。
怖い、彼に会いたい。
検査の結果が出た。
しばらくこの都会の大きな病院に入院になった。
毎日沢山のお薬を飲んだ。
毎日二回の点滴も打った。
日に日に食欲が無くなるのが分かる。
日曜日、彼がお見舞いに来てくれた。
彼が柔らかい手で私の手を握ってくれた。
小刻みに震えていた。
もしかして私は死ぬの?
彼は言った。
そうじゃないよ、好きなあなたの手を握って嬉しくて緊張して震えただけだと。
私は分かった。恐らく死ぬ。
だから彼に言った。
もう少し大きい病院に移らないといけなくなったから会えないの。
遠いの。
凄く、遠いの。
会えなくなるね、心配しないでね。
ちゃんと治して学校戻るから彼は柔らかい表情で帰って行った。
私は病院は移らない。
彼と会うのが辛い。
会わない方が辛い。
どちらか考えたら会うのが辛いと思った。
だから嘘を付いた。
二人はもう二度と会う事は無かった。
ほな!
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