動機を教えろ動機はなんだ、なぜ殺した。
それはムシャクシャしてたからです。
ムシャクシャだけで人を殺してしまったのか。
そうです、ムシャクシャしてたからです。
じゃあ聞く。
なぜムシャクシャしたんだ。
バイト先の奴らが悪いんだ。
バイト先の奴らがなぜ悪いんだ。
バイト先の奴らは俺を鈍いとからかう。
バイト先の奴らは君を鈍いとからかうのか。
そうです、皆んな俺を馬鹿にするんです。
バイト先の皆んなって全員がか。
そうです、全員がそうなんです。
じゃあバイト辞めれば良かったのに。
辞めるつもりだったし、辞めました。
じゃあ辞めてスッキリしたろ。
はい、辞めた瞬間はそんな風に思いました。
瞬間っていったいどういうことだい。
辞めたんだけど、なんか辞めてみてあいつらに負けた気がしてきた。
辞めたんだからいいじゃないか。
勝ち負けの問題じゃ無いよ。
頭ではわかってるつもりなんだけど、なんかイライラした。
なるほどそうか、イライラしたわけなんだな。
そう、どんどん後になって腹が立ってきたんだ。
人間よくある事さ。
皆んなそうだよ、それからどうした。
気晴らししようと繁華街をうろついていたんだ。
気晴らしにね。
まぁ気分転換にはそれもいいか。
うろついても頭の中ではバイト先の奴らの事ばかり。
なるほど、まだ消化しきれていなかったんだな。
街行く人を見てたら皆んな楽しそうなんだ。
ふむふむ、皆んなが楽しそうだったんだな。
なんだかそれ見てたら、更にイライラしてきた。
どうしてそんな風に思うんだ。
自分はこんな目にあったっていうのに、こいつらはヘラヘラ笑いやがって。
ヘラヘラも笑ってなかっただろう。
いやそうなんだよ。
だから段々腹が立ってきた。
そんなに腹が立つのならそこから立ち去れば良かった。
また俺が逃げるんですか、なんで。
いやそれは仕方がないだろ、普通はそうだよ。
普通ってなんだよ、普通って。
言い方が悪かったな。
嫌な気持ちになったのなら、その場から離れればいいんだよ。
頭のイライラと目の前のイライラでそんな事考えれなかったよ。
そうか、でイライラしてムシャクシャして犯行に及んだのか。
自分以外の人間は皆んな悪いんだ。
俺の気持ちも知らないで。
皆の気持ちを知らない君は悪くないんだ。
ほな!
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