「なぁなぁ許してくれよ」
「許すも何も無いわ。怒ってないし」
「えっ、そうなの」
「そうよ、何も無いわ」
「じゃあ許してくれるの」
「だから言ってるじゃない、怒ってないし許すも何も無いわよ。
何度も言わせないで」
「あっ、そうだったね。ごめん」
「ところで何を謝ろうとしていたの」
「いや、この前の事だよ」
「この前?何かしら」
「ほら、この前の事だよ」
「わからないわ、教えてちょうだい」
「うん、あのさぁこの前さぁ僕さぁ君の事を完全に無視しちゃってたでしょ。
それを後で気付いて、しまったって思ったんだよ。
それを謝りたくてね」
「意味がわからないわ。
どうしてあなたが私を無視してごめんなさいなのか、サッパリだわ」
「いやだって、あの場合は僕がちゃんと気付くべきだったよ」
「だから、何を言ってるのかわからないのよ」
「どうしてだい」
「だってそうでしょ」
「何がだい」
「私、あなたの事なんてちっとも知らないし」
「その事、それは今後おいおい理解しあえば良いんじゃないかな」
「私はそんな気無いわよ」
「なんで」
「なんでって私は電柱であなたは犬よ。
理解も何も無いわ。
や、やめてよ私の脚にオシッコかけるのは」
「いつも無視して向こう側の電柱にマーキングしてたもんだから、今日から君にもさせてもらうよ。
今までごめんね」
ほな!
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