『「手」No.25』

手を繋ごう。

そうやって手を繋いでいた。

一人では立ち向かえない、相手だってこれだったら勇気が湧くよ。

手を繋いでいるから、不安感も無いよ。

暖かさを感じるよ、手の温もりから。

けれども何時しか、手を繋いでるのが普通になった。

当たり前なんだ。

当たり前のように手を繋いでいる。

手を繋いでいる。

ありがたみが薄れてくる。




ある日、繋いでいる手を見た。

繋いでいると思っていた。

手が手から離れていた。

手を探した。

見つからない。

手が見つからない。

当たり前と思っていた手が、何処かへ消えた。

感触だけ残っている。

      ほな!

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