『「今も昔も」No.26』

「大してお構いも出来なくて、ごめんなさい」

「嘘だ、最初から構うつもりも無かった筈だ」

「今度来てくださる時は、ちゃんとおもてなしさせて下さい」

「もう二度と来るなと言っているのだな」

「私ちょっと急ぎの用事がございますので、申し訳ございません」

「帰れと言っているのだな。
 ようし分かったよ、帰ってやるよ」

「仕方なしに浦島太郎は、竜宮城を後にすることに」

「あのぉ…玉手箱があるのですがぁ…」

「そんなもんいるか」

「お持ちにならないのですか?」

「いえ結構です、もう充分間に合ってますから」

そう言い浦島太郎は竜宮城を後にした。

「はぁ、やっと帰ってくれた。
 なんであの人は、こうしょっちゅう、しょっちゅう来るのですかねぇ。
 亀も亀よ、なんで毎回毎回あの人を連れてくるの」

「いゃーすいません。
 あの浜はお産に訪れるものでして。
 行ったらいつも待ち伏せしてるのですよ」

「困りましたねぇ。
 亀よ、もう別の浜にしてはどうなのかい」

「それがですねぇ世界中で浜が残っているのが、あの浜だけなのでございます」

「それは困りました。あの人ももうそうとうジジイの筈なのですが、どうして生きているのかしら」

「さぁ…」

       ほな!

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