「大してお構いも出来なくて、ごめんなさい」
「嘘だ、最初から構うつもりも無かった筈だ」
「今度来てくださる時は、ちゃんとおもてなしさせて下さい」
「もう二度と来るなと言っているのだな」
「私ちょっと急ぎの用事がございますので、申し訳ございません」
「帰れと言っているのだな。
ようし分かったよ、帰ってやるよ」
「仕方なしに浦島太郎は、竜宮城を後にすることに」
「あのぉ…玉手箱があるのですがぁ…」
「そんなもんいるか」
「お持ちにならないのですか?」
「いえ結構です、もう充分間に合ってますから」
そう言い浦島太郎は竜宮城を後にした。
「はぁ、やっと帰ってくれた。
なんであの人は、こうしょっちゅう、しょっちゅう来るのですかねぇ。
亀も亀よ、なんで毎回毎回あの人を連れてくるの」
「いゃーすいません。
あの浜はお産に訪れるものでして。
行ったらいつも待ち伏せしてるのですよ」
「困りましたねぇ。
亀よ、もう別の浜にしてはどうなのかい」
「それがですねぇ世界中で浜が残っているのが、あの浜だけなのでございます」
「それは困りました。あの人ももうそうとうジジイの筈なのですが、どうして生きているのかしら」
「さぁ…」
ほな!
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