『「カリスマ」No.27』

俺はある物を手に入れた。

手に入れたのに手に入れなかった時より、不安に苛まれている。

俺はカリスマだからそんな事を思っても、誰にも相談できないんだぜ。

しかし不安は募るばかりだ。

手に入れた物がとても大切になり無くなってしまったらどうしよう。

そればかり考えるようになった。

しかし俺はカリスマだから、堂々としていなくてはいけない。

論理的に考えようと思っても、感情のパワーの方が大き過ぎて論理で抑え切れない。

表向きは堂々としている。

中身はグラグラ。

ある一人の手下に
「最近痩せたんじゃないですか。
 元気もないような気がするのですが」
 そう言われたが、俺は笑ってみせた。

「そんな訳無いじゃないか、何をバカな事を言ってるんだ。ガハハハ」

それ以来、俺は前以上にオーバーアクションになりやたらと笑うようになった。

それと共に心の弱さが、モヤモヤしたものが自分を支配して行くのが解る。

困った、じゃあいっその事あれを捨ててしまうか。

バカ言うな、あれが無かったら俺は何のために生きてるのか、解らなくなるじゃないか。

それは無理ってなもんだよ。

しかし、功を奏したというのかオーバーアクションにしてから益々カリスマ性が増したように見えるらしく俺の手下は増える一方だぜ。

追い風だ、やはりこうなってきたのも、あれのお陰だ。

かなりお金も集まってきた。

そこで大きな施設を作った。

その中には俺のプライベートスペースも用意してある。

玉座もある。

そしてその玉座の裏手には、誰も入る事を許されない秘密の部屋がある。

もちろんあれを隠してある部屋だ。

完全なるセキュリティ、とにかく俺以外は入れない。

これだけすればもう心配する事も無いだろう。

しかしおかしい事にこれだけしていても不安は大きくなる。

小さくなることは無かった。俺はカリスマだから仕方が無い。

そんなカリスマだけども、お前にだけは違うのだよ。

「ミャーミャー」俺を求める声が聞こえるぜ。

「ミィーちゃん、どうちたんでちゅかぁ。
 愛してるよミィーちゃん。
 僕ちゃん今日も頑張っちゃったよ。
 それはね、ミィーちゃんが居てくれるからだよん。ミィーちゃん、ミィーちゃん、ミィー…」

       ほな!

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