『「孤独」No.36』

手に持っているモノは何か?

ナイフか、ピストルか。

心に持っているモノは何か?

特殊な思想か、幼稚な思考か。

「お前、皆んなから疎まれてるぞ」

「そうか、構わないよ。こっちとしてもそれは都合がいい。君も僕には近付かない方がいいよ」

「何故そういう事を言うのだい。こっちは心配しているのに、寂しいじゃないか。とにかくもう少し他の人の事も考えろ」

「別に良いじゃないか、僕は僕なりの個人としての考え方や感じ方、感覚ってものがあるんだよ。君のそれとはまた違うよ。頼むから放っておいてくれよ」

「そこまで言うのであれば仕方がない。もう構うのはよすよ」

「ああ、そうしてくれたまえ」

そんな彼も本当は愛が欲しかったのだ。

治りもしない病に侵されて、それも人には言えず抱きしめてくれる家族も恋人いない。

後は粛々と死がやってくるのを待つのみだ。

生まれもしていない、人間の話だが。

       ほな!

この短編小説にはまだコメントがありません。
ぜひ一番最初のコメントを残しましょう。