何もかもが殆ど透明だ。
空は黒く地面は白い。
建物も乗り物も生き物も全て殆ど透明だ。
クリオネやクラゲみたいに。
音は無い、光も無い。波動はある、匂いもある。
ゆっくりと時間が流れている。
波動を感じる。誰かが来たのだな。
偶に誰かに出会う。
知り合いだったり、知らない人だったり。
波動が近付いてきた。
なんだろこれは。
嗅いだことが無い、ちょっと怖くなった。
しかもその波動は前や後ろ左右では無く、上からなのだ。
何だろうか。
上には何かあるのか。
上はどうなっているのだ。
経験した事が無いので、完全に動揺してしまっている。
波動がどんどんと近付いてくる。
怖くて動けない。額からは汗がにじみ出る。
迫る恐怖。駄目だ。
ついにそれは現れた。
そして、それに手を触れてしまった。
その瞬間、体は動かなくなり痙攣をおこした。
静かに上へ上へと連れていかれるのであった。
ほな!
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