『「暗闇の世界」No.41』

何もかもが殆ど透明だ。

空は黒く地面は白い。

建物も乗り物も生き物も全て殆ど透明だ。

クリオネやクラゲみたいに。

音は無い、光も無い。波動はある、匂いもある。

ゆっくりと時間が流れている。

波動を感じる。誰かが来たのだな。

偶に誰かに出会う。

知り合いだったり、知らない人だったり。

波動が近付いてきた。

なんだろこれは。

嗅いだことが無い、ちょっと怖くなった。

しかもその波動は前や後ろ左右では無く、上からなのだ。

何だろうか。

上には何かあるのか。

上はどうなっているのだ。

経験した事が無いので、完全に動揺してしまっている。

波動がどんどんと近付いてくる。

怖くて動けない。額からは汗がにじみ出る。

迫る恐怖。駄目だ。

ついにそれは現れた。

そして、それに手を触れてしまった。

その瞬間、体は動かなくなり痙攣をおこした。

静かに上へ上へと連れていかれるのであった。

          ほな!

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