「手を上げろ!」
「まただよ、また来やがったよ。もう勘弁してくれよ」
「良いから手を、手を上げろ」
「はいはい、こうね。こうでしょ、で?」
「手を上げたか。良いじゃないか、それで良いんだよ」
「なんだよ、その上からもの言うの止めてくんない?
気分悪いから下ろしちゃおうかな」
「いやいや、こっちには拳銃があるんだぞ。
うかつに下ろすと風穴が開くぜ」
「ああー余計に気分悪くなってきた。
もうええわ、下ろすわ」
「わっわっ、ちょっちょっちょっと。
待って下さいよ、分かりましたよ。
ちゃんと尊敬の念をもって話させて頂きます」
「それなら、それでよろしい。
で今日は何しに来た訳?こないだは結局キミ何もしないで帰ったでしょ。
あれ完全に営業妨害だからね。
次またあんなのやったら、警察に突き出すからね、分かった?」
「あっ、分かりました。
警察は勘弁して下さい。
ええとですね、今日来たのは、そのアイスを買いに来たんですが、一ドル足りないんです。
僕の欲しいアイスは二ドルなんですよ。
だから、手を上げろです」
「お前はアホか?そんなもんアイス買うお金足りないのだったら、普通は諦めて帰るか帰ってお母さんか誰かに借りるかすれば良いじゃないか。
それをなんだ、手をだ手を上げろ?バカにしちゃいけないよ。
そんな事で俺は手を上げていたのか?
バカバカしい、もう下げるぞ。
いいな、アイスも無いぞ分かったな」
その瞬間、店内にパァーンという音が鳴り響いた。
「あーあ、やっちまいやがった。
お前、その銃がどんな銃か分かってなかっただろ。
お父さんか誰かの借りてきたのか知らないけど、その銃、玉でないよ、音だけだよ。
でなこの店には音の探知機がついていて、もし拳銃の銃声がしたら、すぐに警察が駆けつけるんだよ。
ほら、外を見てみな、もう来てるだろ。
バカな奴だ、えっこれで何回目だ。
もう営業妨害は勘弁してくれ。」
その言葉を最後に、店の主人は床に倒れ込んだ。
ほな!
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