ジープに乗っている。
アフリカの大地。
ジープに乗っている。
電車に揺られること何時間だろうか、外はもう薄暗い。
目的が無いわけでは無いが、目的地は曖昧だ。
ある駅に到着すると両方のドアが開いた。ホームは片方だけなのに、手の長い少女はホームの無い側を歩いて行った。
終着駅まで来たので、ここからは別の乗り物に乗る。
どうしてここに来たのか、どうしてここに住んでいるのか、人にはよく聞かれる。
熱い情熱などは無い。
絶望も無い。
ただ乗り物を乗り継いだら、そこがここだっただけだ。
家族はいるよ。
同居している夫婦とその夫婦のペットたち。
僕の持ち物はパスポートと数枚の着替えと村上春樹が二冊と新約聖書。
村上春樹は持っていると格好が良いかなと、それだけの動機で二冊。
まだ読んだことが無い。
新約聖書はよく読んでいるよ。
寝付けない夜には最高なんだよ。
いつまでここに居るのかそれは誰にも決めれないよ。
僕自身も分かっていないんだから。
ただとても不便で住みにくい土地ではある。
苦手な虫だらけだ。
どうでも良いけど、そのジープには触るな。そのジープは僕のだ。
ほな!
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