『「重声」No.59』

「この中で一番早い奴はだれだ」

偉い人は僕たちに聞いてくる。

いったい何が早いのか分からない。

漠然としている。

質問をしたいが、質問の仕方をうっかり間違えると、さっきもそうなのだが人が一人拳銃で撃たれたよ。

だから皆んな黙っているしかない。

また聞いてきた。

「この中で一番早い奴はだれだ」

そしたら今度は僕の知らない奴が僕を指差して「彼が一番早い奴です」と答えた。

偉い人は僕を一旦グッと睨み付け、その後それを言った本人に質問をした。

「彼は何が一番早いのかね」

彼は額から汗が吹き出している。

小刻みに震えている。

「もう一度言う。
彼は何が1番早いのかね」
少しの沈黙の後彼は小声で言った。

「ヤクルトの早飲み」

パーンッ

銃声が鳴り響いた。

「この中で…」

       ほな!

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