『「偕楽」No.61』

天気が良い、程よく雲もある。

この雲の加減がよろしいので、尚いっそう空の蒼さが気持ち良い。

風も強からず弱からずといった感じであろうか。

時々ほんの少しだけ風が強く吹く。

樹々の葉が其々に擦れ合って、ザワザワという独特の音を立てくれる。

遠くで川のせせらぎも少しばかり聞こえてくる。

その両方の音で涼を楽しめる。

生きていて良かった。

今ここにいて幸せである。

そう思わざるを得ない。

ある一点を除いてはな。

まさかこんな気持ちの良い場所で、まさかこんな気持ちの良い季節に、私が人を殺めてしまうなんて。

私の横には冷たくなったそれが横たわっている。

嗚呼、なんて気持ちの良い…

      ほな!

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