『現代創作童話 シンデレラ』

シンデレラは彼女に魔法をかけてくれた妖精にとても感謝した。
妖精のおかげで舞踏会に参加でき王子様と結婚できたからだ。

妖精はまさかそんなにシンデレラに感謝されると思っていなかったので驚いたが、やはり人に感謝されるというのは気分のいいものだ。
妖精はその翌年、全く別の国でシンデレラと同様の人物を見つけ出した。その名をマリアという。

マリアにはシンデレラと同様義理の姉が二人おり、その姉にいびられていた。それでもマリアは文句一つ言わず、家事をこなし、掃除をこなし、誰よりも一生懸命働いていた。
舞踏会の招待状が届いたが、もちろんマリアが参加することは許されなかった。マリアは義理の姉二人の服を準備し、綺麗にアイロンをかけ二人を送り出した。
すると、突然妖精がマリアの目の前に現れた。

この後の流れはシンデレラと同じであった。妖精はマリアに魔法をかけた。マリアはかぼちゃの馬車に乗り、綺麗なドレスに身を包み、そして王子様の待つ舞踏会に参加した。
シンデレラはここで王子様に声をかけられ、一緒に踊り、そして魔法の解ける直前にその舞踏会から飛び出したのだったが、一方マリアの場合は、少しだけ違っていた。
確かにマリアは魔法の解ける前に舞踏会を飛び出したが、シンデレラの場合と決定的に違う点が一つあった。
それはマリアの見た目だ。シンデレラはもともと信じられないぐらい美しい女性だった。だからこそ舞踏会で王子様の目に留まったのだ。一方マリアの見た目は平凡そのもの。いくら妖精の魔法で綺麗に着飾ったとしても、またいくらマリアの心が美しく、人間的に素晴らしいとしても、舞踏会の短い時間では王子様の注目を得ることはできず、結果として舞踏会で王子様と踊ることはなかった。

勘違いしてはならない。
シンデレラは顔が美しいからこそ、シンデレラストーリーを歩むことができたのだ。

マリアが可哀想です!笑 でも現実をよく表している気がします、、、