『「死して屍拾うもの無し」No.76』

「誰か助けてぇ」

「はいなんでしょう」

「変な人に追われてるの、助けて下さい」

「はいはい、助けましょう。
でどうすれば助けになるのですか」

「え?」

「いやだから、どういう風にしたら、あなたの助けになるのか聞いているのですよ」

「先ほども申しましたように、私は変な人に追われて逃げてきたのです」

「じゃあ、もう大丈夫じゃないですか。
逃げてきたのでしょ」

「まぁ…」

「誰も来ないじゃないですか」

「はぁ…」

「助けようがないじゃないですか」

「えぇ…」

「困るんだなぁ、そんな無用心に人を呼んじゃあ。
もっと困ってる人いっぱいいるんだよ」

「はい…」

「はい、ってねぇ。
まぁいいや、しょうがない、そこで怯えた感じにしてて」

「はぁ…」

「やいやい盗賊、おいらが相手になってやる。
どっからでもかかってきな」

「やぁー」

「えっ」

「有り金全部出しな」

「マジでか」

「女だと思って油断するからこうなるのよ、なんとか侍さん」

「痛てぇぇぇーよぉ」

      ほな!

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