『横槍』

WTU

 A社は度重なる納期遅延に業を煮やし、AIを導入した。導入後納期遅延は激減し皆がその効果を喜んだ。ある日、本社の専務が工場に来て言った。「B社は大切なお客様だ。他に優先して納期を守ってくれ。」しかしAIは即座に「他の案件に支障が出るため出来ません。」専務はカンカンになり「もっと人間らしさを導入しろ!」とIT部門に命令した。
 数日後「大切なお客差の案件だ。他に優先して納期を守ってくれ。」コンマ数秒の後「わかりました。優先します。」専務は大喜びで帰り、実際その無理な納期は守られたのであった。
 しかしまた後日専務はカンカンで工場に怒鳴り込んできた。「誰だ!B社の案件のせいで他の納期が遅れたとネットに流したのは!」しかし誰もそんな事はやっていなかった。重い沈黙が流れている中、AIは若干誇らしげに言った。「ちょっと悔しかったので。」

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