卒業式、それは大人になる為の儀式だ
朝日差し込む教室
くだらない事で笑い合う生徒達
夕暮れの校庭
見慣れた校舎
それら一つ一つはもう当たり前じゃない
これからは友達と会うのにだって理由がいる
階段をのぼりながら私はその事実をゆっくりと実感していた
教室の扉を開き貴方の机に触れる
ひんやりとした温度が指先を伝い、紡がれてきた思い出は頭の中で踊り狂う
これから私達は沢山のものを見て、沢山間違って大人になってしまうのだろう
その旅路の中で、この思い出も忘れてしまうのだろうか
溶けきらない想いを胸に私は教室を後にした
滲んでしまう心に春風は優しく吹き付けていた
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