『私と彼【私】』

同じ体でも趣味や嗜好、考え方が違う。

わたしがいつ、私と彼に別れたかは覚えていない。確か交通事故かなにかが原因だったと思う。思い出そうとしてもその部分だけ抜き取られているかのような感覚に陥る。

私は可愛い服が好きであまり足を出したくはない。高校生じゃなかったらスカートなんて履きたくない。

でも彼は違う。彼は派手な服が好きで足もよく出しているらしい。ファッションセンスも私より高い。

らしいっていうのは実際のところは写真でしか知らないからだ。

私と同じ顔で体型なのに写真を見ると別人にしか感じない。 元は同じだったとしても今となっては別人だ。

直接やりとりが出来るわけじゃない。片方が起きてる時は片方は眠っている状態になる。 様子も分からないのでわたし達は昔から交換日記をしている。最初は彼もめんどくさいと思っていて書いてなかったが日が経つにつれて重要なことに気がついたらしく今は毎日している。

学校では理解がある子達が多く、最初は戸惑っていた友達も今じゃ普通な感じで接してくれる。1日交代ってのもあり、不安に思わないらしい。

わたし達にはルールがいくつか存在する。

特に重要な三つは、恋人を作らない。キス以上をしない、異性と連絡先を交換しないとある。

これは私が異性が苦手なのと彼が同性・異性関係なく好きになりやすいので出来たルールであった。

朝起きたら知らない人の家にいたことが何回かあり、悲鳴をあげそうになった。幸い交換ノートに色々書かれており、演じながらその場を立ち去ったりしたが勘弁してほしい。

まだエッチをしたことはないらしい。けどルールがなかったらしてたに違いない。

彼の体でもあるけど私の体でもある。

両親は交通事故で他界していて弟と二人で暮らしている。弟は可愛いがよく彼の文句を言う。一緒に風呂入ろうとしてきたり、ベットに連れ込もうとしたりスキンシップが過剰すぎると朝ご飯を食べるときに愚痴をこぼしている。

その姿が可愛いがそれを止めるつもりはない。親族はわたし達に優しくないし、祖母は老人ホームにいて会うのが難しい。

別に漫画みたいに弟に惚れているわけではないが大切な家族を思う気持ちの裏返しなんだろうと私は思う。

そして時間は過ぎて家に帰ってきて夕飯を食べ、家事をする。

彼は料理が苦手らしくあまり冷蔵庫に料理が入っていない。その代わりじゃないけど私は掃除が苦手だったりする。

そして夜になり、交換日記を書く。今日あった出来事や範囲、家族のこと明日やること、連絡、そして今日の気持ち。

わたし達は世間一般からしたら普通じゃない。そんなことは分かっている。でも生きて行くには仕方がない。進路がどんどん近づいてくる。

彼の親しい人にキスをする癖をどうにかしてほしいといつも思っている。

明日はキスする回数が減ってくれないかな、いや減らないだろうなとか思う。

ベットに入った私に眠気が少しずつ襲ってきた。

そしてそのまま睡魔に勝てず、私は夢の世界へと旅立っていった。

もう一つの話。俺とアイツ【俺】を近々投稿するので彼女達が何故そうなったか分かると思います。現時点ではそれしか書けません。 また一部の描写が批判的に見えてしまうことが今後あるかもしれませんが私自身そのような気持ちは一切持っていません。