『「ボタン」No.90』

「脚が痛いんだ、少し休ませてくれないか?」

「お前は何を寝ぼけた事を言っているのだ。
奴隷に人権など無いぞ、アホだな」

「アホ?そんな言い方無いだろう。
僕は僕で一生懸命に生きてきたんだ。
迷ったり悩んだり色々あるけれど、とにかく人間としてそれを全うしてきたんだよ」

「ふぅーん、なるほどね。
でもしかし、奴隷は奴隷だ。
とやかく言うな。
そんな暇があったらとっとと働け」

あれから三十年も経った。

三十年前、私は命辛々逃げ出した。

どれほど逃げ、どれほど歩き、どれほど死と戦ったか。

途中で私は死んでいると思っていた。

しかし目覚めた。

知らない小屋の中で。

ここは何処だ。

見た事もない奴が入ってきた。

その姿は人間からは程遠く、なんと説明して良いのか分からない。

彼らは話しかけてきた。

「もう大丈夫ですよ」

「人間の言葉を話せるのか」

「いえ翻訳機を使っています。
その目の前に居るのが翻訳機です」

どうみても有機物にしか見えない。

「この生き物が翻訳機なのですか」

「作用」

「いったいここは何処なんですか?」

「ここは三十年後の地球だ」

「そうか地球なんだ。
何処か知らない星にでも連れて行かれたと思ったよ」

「いえ、今戻ったところですよ。
この三十年間はある場所に居ました」

「ある場所?」

「そうある場所です。
それは知らなくていい。
それより貴方はこれから自由の身です」

「でもいくら三十年経ってたとしても、僕の見た目は昔の奴隷の人種のままだよ。
また元の生活に戻るだけだよ」

「そんな事はない」

「どうしてそんな事無いのですか」

「もう話す事は無い、貴方は自由だ。
自分の目で確かめるとよろしい。
ではまた」

「えええっ。
ちょ、ちょっ、ちょっと待って下さい」

しかしもう何も返事をしてくれない。

変な翻訳機はそこに居るだけだ。

起きてみた。

あっ元気じゃないか、スゴくチカラがみなぎっている。

何だろう。

立ち上がって小屋の外を見てみた。

ここで質問です。
彼が見た外はどうなっているでしょーか?

A、広い海が広がっていた。
B、一面砂漠が広がっていた。
C、近未来の都市が広がっていた。

A〜Cを選びEnterボタンを押して下さい。

いったい、これで俺の何の心理が分かるというのか?             

 ほな!

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