『民衆の声』

苦しい、苦しい、苦しい。
なぜ我々はこんなにも苦しまなければいけないのだろうか。
我々が一体何をしたというのだ。
ただいつも通りの日々を生き、普通に生活していただけなのに。
なぜ苦しまなければいけないのだ。

憎い、憎い、憎い。
我々をこんなにも苦しめているものが憎い。
我々を苦しくしているものは何だ。
それは国だ、政府だ。
我々はいつもの生活をしていただけというのに。
苦しみが訪れることを防げなかったのは何故だ。
我々を苦しくした政府が憎い。

戦え、戦え、戦え。
我々に苦しみをもたらした政府を倒すのだ。
我々を救済しない政府など無用だ。
何もしない政府などいらない。
我々はいつも通りの生活をしていただけなのに。
苦しみが訪れても我々を救えない政府など無用だ。
民衆を救うのが国、政府だろう。
何故我々を救わない。
ならば我々は戦う。
我々を救わない政府を倒すために。
我々を救わない政府を処刑するのだ。
我々が苦しんでいるのだから。
苦しみから逃れるために戦うのだ。
政府を倒せばきっと救済が訪れる。
民衆よ、戦うのだ。

何故だ、何故だ、何故だ。
何故我々に救済が訪れない。
憎き政府を倒したというのに。
我々を救わない政府を倒したというのに。
何故我々は救われないのだ。
何故我々は今も苦しいのだ。

誰だ、誰だ、誰だ。
今もなお我々が苦しいのは誰のせいだ。
我々の中に裏切り者がいる。
我々の中に我々を苦しめている者がいる。
だってそうだろう。
ただいつも通りの生活をしていた我々が救われないはずがない。
我々が救われないのは我々の中に裏切り者がいるからだ。
裏切り者は誰だ。

殺せ、殺せ、殺せ。
裏切り者を殺すのだ。
我々を苦しめる者を殺すのだ。
救われるはずの我々の邪魔をする者を殺すのだ。
疑わしき者を全て殺すのだ。
そうすれば我々は救われる。
救われなければおかしい。
何故ならば我々はいつも通りの生活をしていたのだから。
普段の生活をしていた我々が苦しむのはおかしい。
苦しみが訪れるのを防ぐのは政府の役目だ。
苦しみが訪れるのを防げなかった政府は殺した。
次は裏切り者を殺すのだ。
我々が救われるために。
全員殺すのだ。

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