『宝石』

瑞々しくきらめく紅い宝石。
まるでルビー。
春の穏やかな風とともに運ばれてくる
甘酸っぱい香り。
『イチゴ』
コロンと丸みを帯びた可愛らしさ。
熟した真紅の実からは艶やかさを感じる。
イチゴは
少女が女性へと羽ばたこうとする、
繊細で多感な時期を
まさに具現化したものではないか。
神様は時に洒落たことをするようだ。
こんなにも素敵な果実を人民に与えてくれたのだから。
私は輝く極上の一粒を口に運ぶ。
ほのかな酸味と甘い香りが口内に広がり
鼻腔を刺激する。
そのあとすぐに上品な甘みが私を包み込む。
至福のひと時。
この瞬間が永遠に続けばいいのに。

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