『夢から覚める瞬間』

夢を見なくなったのはいつからだろうか。

不思議な世界にいる自分。
誰よりも強い自分。
よく知っている誰かと一緒に楽しく過ごす自分。
普段とは違う視点の自分。
自由に世界を翔る自分。

自分の心を暖かくしてくれるもの、
時には怖い時もあるけど、自分を違う世界に連れて行ってくれるもの、
それが夢。

そんな夢を見なくなってしまったのはいつからだろうか。

子供から大人になった時?
厳しい現実を突きつけられた時?
疲れて何も考えられなくなった時?

いや、違う。

大人になっても壮大な夢を見続ける人はいる。
厳しい現実が目の前に現れても夢を見ながら突き進む人はいる。
疲れていても夢を見て日々生き続ける人はいる。

私たちが夢を見なくなるのは、私たちが夢を否定した時だ。

自分の思い描いているものは現実にはならないと決めつけて。
辛い現実だけに目を向けるようになって。
疲れと休息だけのサイクルを繰り返すようになって。

そうやって夢を否定した瞬間から私たちは夢から覚めて

もう2度と

夢を見ることはなくなる。

この短編小説にはまだコメントがありません。
ぜひ一番最初のコメントを残しましょう。