『僕は幸せもの』

僕がこの家に来たのは今から3年ほど前だろうか。
生後まだ2ヶ月ほどの僕、無理やり両親と引き離されこの家の養子になった。
 その頃の記憶はあまりないが、ただ不安と寂しさで毎日辛く悲しかったような気がする。
 新しい家は一軒家だった。
そこには僕とは血の繋がらない姉がいた。
三姉妹だ。
長女は控えめだが優しく僕を受け入れてくれた。
次女と3女は双子で、まだ小さかった僕を見て「可愛い!」と追いかけ回し僕は毎日逃げ回るのに必死だった。
 あの頃の僕は早く大人になって産みの親に会いたい、そればかり願っていたような気がする。
 僕は、毎日必死で生きてきた。
毎日、毎日、無理やり抱かれ必死で抵抗した。美味しそうなおやつを貰う為には母に媚を売るしかなかった。

そうやって自分を押し殺して生きてきた。
僕は、
僕は、
ぼくは、
なんて不幸なんだ
にゃーーーーん。

…明日も美味しいご飯やおやつを貰うためにとびきりの声で「にゃーん」と泣こうと思います。
毎日カリカリにササミをいれてもらうために。
時々ちゅーるをもらうために。
この家に来てから365日「可愛いなぁ」と言われ続けています。
ああ。
人気者って辛い…

にゃん。

なるほど、猫の気持ちということでしょうか……?うちには犬がいます。この子もこんな気持ちだったのでしょうか……