『 花嫁の約束 』  小説は読まないですし書いたこともありませんが、暖かい目でおなしゃす。』

JJJ

小さな町の一角。そこには双子の兄弟がいて、毎日何かしらの対決をしています。ですがこれまでの戦績は五分五分。
そんな兄弟は同じ女の子に恋をしていました。その女の子に兄弟は何度も告白するのですが、これまで成功は2人ともゼロ。そんなある日女の子が言いました。
「この前、親戚の結婚式があったの。初めて花嫁さん見たんだけどすごく綺麗ですごく幸せそうだった。憧れるなぁ。」
この時兄弟はひらいめいた。
兄「よし、俺が豪華なドレス作ってお前を綺麗な花嫁にしてやるよ」
女「あれ?そういうことじゃないんだけど。」
弟「兄貴!そうじゃねーよ。花嫁ってのはドレスだけじゃねーんだよ。化粧したり髪いじったり色々しないといけないんだよ。だから俺がお前をメイクして一番綺麗な花嫁にしてやるよ。」
女の子「そういうことでもないんだけど、、」
兄弟はとも馬鹿でした。女の子は呆れていましたが兄弟は「約束するよ。待ってろよ。」
そんな兄弟と女の子のありきたりな様でちょっと変わったお話。

数年の時が流れました。三人は高校三年生になりました。高校三年といえば進路に悩む時期。みんな就職するか進学するか、進学するにもどこの大学行くか悩んでました。ですが兄弟の進路は約束したあの日から決めていました。兄はウェディングドレスのデザイナー、弟はヘアメイクアーティストへの道へ。兄弟は二人ともその道を極めたいと思っており留学も視野に入れていました。ですが一筋縄では行きません。両親の特に父が猛反対。
父「そんな女々しい仕事認めるわけにはいかん。ましてや留学なんて」父は自衛隊学校の教官をしておりこの時代では比較的珍しい亭主関白の頭が固い人で自衛隊内でも鬼教官と言われていました。父は息子二人には自衛官になって欲しかったみたいですがまさか兄はドレスのデザイナーの道、弟はメイクの道へ行くとは思っておらずいつも以上に雷ドッカーンです。いつも父が怒ると兄弟は言うことを聞くのですが、今回は違いました。兄弟は少しビビりながらもまっすぐ父を見て、
兄「今回ばかりは父さんでも譲れねぇ」
弟「俺たち約束したんだ。」
この様子を見た母は「好きにやらしてみたら?この子たち馬鹿だけどここまで強く意見したのは初めてじゃない。」
父「母さん・・馬鹿は余計だろ」
そんなさりげなくツッコミを入れた父でしたが、この日は息子たちの意見を認めることはありませんでした。
その日の夜、夫婦はベランダで晩酌をしていました。
母「それにしても、あの子たちも進路を決める時期なのねぇ。まあ早い」
父「そうだな。にしてもまさか二人ともよーわからん仕事に憧れおって。」
母「昔近所の女の子と約束したんですって。」
父「2丁目のあのご家族の子か。あの子に関しては気の毒だな。」
母「にしても昔の約束叶えるためにここまでするなんてねぇ」
父「確かにあいつら男らしくなりやがって、、、認めてやるか。」
母「あら、急にどうしたの?」
父「いいだろ。別に」
母「そういえばお父さん昔のこと覚えてる?」
父「いつのことだ?」
母「中学生の時よ。一緒に帰っていた時不良にナンパされたけどお父さん私を守ってくれたよね。でもあの時のお父さん体も気も小さかったし不良に対して声も体も震えっぱなし。案の定ボコボコにされたけどずっと私を守ってくれた。そのあと、ボロボロの姿で俺強くなるからって私を真っ直ぐみて言ったわよねぇ」
父「忘れたよそんな昔のこと」
母「嘘ばっかり。でもあの時のお父さんすごくかっこよかった。あの子たちが進路の話してる時の目、あの時のお父さんにそっくりだった。」
父「そうか、まさかそこが親子似るなんてな」
夫婦はそんな会話を月を見ながら楽しげにしていました。
次の日の朝、父は息子二人にやってみろとだけ言いました。無事父に認められましたが兄弟にはもう一つ問題が。それは兄弟をいじめるクラスメイトです。クラスメイトは兄弟の進路に目をつけお前ら女みてえだなといじめてきますが兄弟にとっては問題にするほどでもなさそうですね。クラスメイトが兄弟をいじるたび二人はそのクラスメイトたちとよく殴り合ってます。兄弟の問題というより学校が悩んでいる問題ですね。

そういえば女の子が出てきませんね。実は過去に女の子は交通事故に遭いました。事故の影響で大脳は機能しておらず辛うじて脳幹は機能しています。いわゆる植物状態です。医師の見解だと目覚める確率は極めて低いです。ですが兄弟は目覚めることを信じ、あの時の約束を果たすため、がむしゃらに頑張っています。
そんなこんなで月日は流れます。兄弟も女の子も既に成人です。
兄はヨーロッパの某国でドレスデザイナーとして成功していました。弟もヨーロッパの兄と別の某国でメイクアーティストとして働いています。
女の子は目覚めません。
さらに月日は流れます。
兄は自分でデザインしたウェディングドレスが評価され、雑誌で話題になっていました。弟は技術を買われ有名アーティストのメイクも手掛ける程に。
女の子はまだ目覚めません。女の子の両親はそろそろ延命措置を中止する決断をしました。それを聞きつけ兄弟は女の子のいる病院へ行くため帰国します。そして女の子の病室に着きました。ちょうど女の子の両親は自分の娘の延命措置の中止の手続きを済ました後でした。これが最後だと思うと兄弟は崩れながら泣きました。女の子の両親は兄弟に泣きながら感謝を伝えました。
女の子の父「娘が小さい時から今までお世話になったね」
女の子の母「あの子もあなた達に最後のお別れができてきっと喜んでるわ」

兄弟は最後ということで約束を果たすべく女の子の両親に、、
兄「あの、娘さんにドレスを着ていただきたいんですがいいですか?」
弟「僕はメイクさせて下さい。昔の約束ですけど、あいつ綺麗な花嫁に憧れていましたから。」
女の子の父「君たち仕事のこと御両親から聞いたけど君たちまさか娘との昔の約束のために、、、」
女の子の母「ここまで想われていたなんて、あの子はすごい幸せ者です。」
女の子の父「本当にありがとう。娘の最後だ。綺麗にしてやってくれ。でもドレスはあるのかい?」
兄「問題ありません。持ってきましたから。」
女の子の父「そうか、じゃあ頼むよ。」

娘の花嫁姿に両親は涙を抑えることは出来ませんでした。
女の子の父「最後に娘の晴れ姿見れてよかった。相手は居ないけど。」
女の子の母「何言ってるの、いるじゃない。しかも二人も」
女の子の父「いや待て、うちの娘はやらんよ。なんてな」

最後に兄弟は女の子の手を握りしめ別れの言葉を言います。
兄「どうだ俺たちの最高傑作」
弟「これでやっと好きになっただろ」

女の子「だから、、、、そういうことじゃないって、、、」
         完

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