『都県境踏破記録 ~1 三頭山北尾根と避難小屋偵察~』

3月の初め、雪の少ない年であり、スギ花粉が本格的に飛び始める前にと、奥多摩の県境を狙っていた。
奥多摩湖の奥の方にある東京都と山梨県との県境であるが、忠実に県境を辿るには少々面倒だったので、三頭山の北側にあるヌカザス尾根を代わりに歩いて、山頂を踏むコースとした。また暖かくなったら、高尾山まで繋げたいと計画していたこともあり、避難小屋の偵察も兼ねていた。
朝8時、深山橋近くの駐車場に車を停め、ヌカザス尾根に入る。勾配が緩やかで歩きやすい道だ、案内板も充実していて、のんびりハイキング気分だった。
ムロクボ尾根との合流地点手前で、強烈な斜面に出くわした、ロープや立ち木なしでは登れない角度。『本気か?』思わずに弱音が出た。リポDスタイルで何とかよじ登りムロクボ尾根に合流したが、ここを下る人はアホだと思った。(数年後、自分がアホになるとは思ってもいなかった。)
2時間も歩くと雪が出てきて、登山道は雪に覆われていた、アイゼンがあるとこの程度の雪が丁度良く歩きやすい。サクサクと歩いて予定通り3時間で登頂した。三頭山はその名の通り、ピークが3つあるので、それを一応散策した。展望台もあったりで、さすがに『都民の森』だけあると思った。
20分ほど南斜面を降りて行くと、ハイキングコースとの分岐があって、そこから1つ目のピークに大きな&綺麗なログハウスの避難小屋があった。せっかくなので、室内で昼食とする。30人は寝られるだろうか凄い広さである。トイレも完備、水場はこの時は見付けられなかった。
帰りは登りと途中までは同じで、ムロクボ尾根を使った。両方とも距離が長く感じてしまうが、ムロクボ尾根の方が歩きやすい気はした。車道に出ると、今は営業していない奥多摩湖のロープウェイが見える場所がある。昔は対岸まで渡されて居たようだ。駐車場に戻るため車道をテケテケ歩いていたら、木を連打する音が聞こえた。良く見ると『赤ゲラ(キツツキ)』であった。

【歩行距離12km、行動時間6.5h、県境2km】

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