『優しい彼女(やさ)』

ぼくの恋人はとても変わっている。

変わっている
って人によく言われるらしい。

ぼくからしたら不思議で不思議で仕方ない。疑問形なのは実際に見たことないからだ。隣をこっそり見る。

今、帰り道を一緒に帰っているが特に変わった様子はない。

いつも同じ道を朝と仕事終わり、付き合いだしてから2年間ずっと歩いている。
手を繋ぎながら帰るのが今じゃ当たり前になってきている。

彼女はいつもぼくの左側にいて、歩いている時は話しかけてこない。

普段はおしゃべりで彼女が話してぼくが聞くってやりとりがよくある。ニュースと動物が好きでデートは動物園に行くことが多い。

動物が好きなおしゃべりな子。出会いも友人の知り合い。特に変わったこともない。一緒にお酒飲みながら我が家の愛犬話をしたら気があって、そこから今に至る。

確かにイタズラ好きではある。よく体を触ってくるし何故か知らないけどたまに噛んでくる。 割と本気で………。

でも変わっている部類なのか?初めて付き合った相手だから比較出来ない。
いつも何も言わない彼女がポツリと言った言葉だから余計に引っかかる。

変わってないよ?って言われたいのかな。甘えてたいのかな? ただ言っただけなのか全く分からない。乙女の気持ちは分からない。シルなら何考えているのか分かるのになって口にしたら怒られそうだから言わない。

「じゃあまた明日ね」

その言葉を言われてはじめてもう彼女のマンションの前まで来ているのに気付いた。

また明日、

と言ってからこっちを見ずに彼女はマンションの中に入ろうとする。

声かけるか、かけまいか数秒悩んだけどぼくは今日も好きだよと伝えることにした。
彼女は一瞬不思議そうな顔をした。突然言われたら誰でもそうなる。でも不思議そうにしたのは一瞬でそのあと笑みを浮かべながらぼくに抱きついて来た。

なかなかほどくのに時間がかかったけど針が19時を回った頃に帰宅できた。
シルはご飯の時間みたいで尻尾を振りながらお出迎えはしてくれなかった。

ご飯に負けたことに少し悲しい気持ちになったが仕方がない。生きていくために必要だしと頭を切り替え自室に向かう。

今日も疲れた体を休めながらも彼女のつぶやいた言葉が気になっていた。

普通と言われ続けて来たぼくから一番遠い言葉だなと思いながら彼女が気にしているなら相談に乗ってあげようと思う。

気にしてない気もするが、明日話を詳しく聞いてみよう。

つづく。

お久しぶりです。ご無沙汰してます。スランプ気味でした。こいつ何がしたいの?って思われたかもしれませんが次の話で掘り下げていくので少々お待ちください。最後に、次回は溜まっているお話の続きを書いていく予定です。