『死にそうになったシリーズ』

最後におまけコーナーです。
死にそうになった体験をランキング形式でご紹介

5位は2つ
甲斐駒ヶ岳の摩利支天へ行くときに、山頂直下の急斜面で花崗岩の白い砂に足を滑らせて、スリップして谷底へ落ちしそうになり、登山道を示すロープに引っ掛かりセーフだった。あのロープがなかったら助からなかった。

群馬県の上信越自動車道の横川SAからも眺められる裏妙義の奇形岩『丁須岩』に登ってみたはいいが、微風でも身体が揺れて怖いものだった。高所平気症だけど手すりナシは無理でした。虎雄は二本足で立っていたけど、照は四つん這いから立ち上がろうとも出来ず、即退散したのであった。

4位は
新潟の中ノ岳を無事登頂し、避難小屋で1泊して、翌朝の日の出時刻、照は一番に起きた。他の人は同行者も含めて睡眠中。天水を沸かして湯煎用のお湯を作ろうと、歯ブラシとバーナー、小鍋を持って外に出た。鍋をバーナーに掛けて沸くまでの間、朝日を座って眺めて、歯磨きしたくなり、雪渓に踏み込んだ。前日夕方は気温で溶けてグズグズだった雪渓は、夜の低温で再凍結してツルツルだった。スリップして尻餅付いて、斜面なので滑り始めた。手でブレーキを掛けようにも雪面の凹凸に指は掛からず、焦った瞬間に窪みにお尻がハマって止まった。ポケットから歯ブラシがこぼれ落ち、『カラカラ~』と滑って落ちていき、視界から消えた。音だけが聞こえてきた。『カン、カラカラ~、カンカン、カラカラ~、カンカンカン、カラカラ~・・・』止まることなく谷底まで落ちていった。その時、小屋の外には照のみ、谷底に照が落ちていっても見付けることは困難だっただろう。下山するまで同行者にこの事を言い出せなかった。

3位は
埼玉県境の赤岩尾根の本編でも記載したが、下山開始直後に最終ピークに雷撃があったことである。大学時代に雷の研究をしていたから、普段なら至近距離の落雷で貴重な体験ができた!と喜びたいところだったが、数分遅ければと考えると、『死』以外に考えられなかった。雷は、直撃はもちろんだが、地面を伝ってくる雷や、木や構造物を介して伝わってくるものがある。知識がある故、本気で恐怖を感じて、命からがら逃げだした。

2位は
谷川岳の馬蹄形縦走の時、一ノ倉沢の絶壁を上から眺めていて、『のぞき』という絶景スポットがあるのです。まさに1000m下の谷底を眺められる場所、高所平気症の照は『どれどれ』と一歩踏み込んで覗き込んだのです。その踏み込んだ足の感触が土の固さではなく、もっと柔らかいものだった。『えっ?!』と思い足元を見ると、そこは地面ではなく、草だった。草の茎と根で耐えているものだった。眼下には1000mの谷底、息ができず、変な汗が出た。体重を前側の掛けているため、とっさに足を引っ込めることもできず、ゆっくり重心移動して、足を引っ込めて、荒々しい呼吸をしていた。

1位は
八ヶ岳の赤岳を真教寺尾根↑と県界尾根↓で単独日帰り登山をした時のこと、終始ハイぺーすで歩いていて、間もなく車道に出るなぁと思っていたところ、5m程の至近距離で大型動物が動き出す音がした。その瞬間『あっ、終わった』と生きるのを諦めました。相手は大型の熊で右前足の一振で照の首が吹っ飛ぶ映像が頭によぎった。恐る恐る音がした方をみると、大型のカモシカが逃走中。あの時は『死ぬ』という危機感ではなく『死んだ』という絶望感でした。

更に番外編
思い出したことがある、2月に二子山の南を歩く時の朝の出来事である。
家の近所にDV擬き(本当は子供が父親に見捨てられ、母親に甘えている。甘え方が過激になってしまっただけ)で有名なお宅があって、当日の朝4時頃に別のお宅がスキーに出掛けるためか車のドアをバタバタ長い時間騒がしかったのです。どうやら警察に通報があったようで5時頃に照が起きて、1階に降りてリビングでお湯を作りながら、着替えようとしたらピンポン来ました。最初は近所さんがこの時間になんだろう、迷惑掛けたかな。と思いながらパジャマのボタンを外した状態で扉を開けたら、お巡り3名程登場。照は感付いた『きっとスキー客とDVを勘違いした通報があったんだな』と。とりあえず寒かったので玄関の中に誘導して、『今日はアノお宅ではないよ』と言ったら、『根拠は何でですか?』とお巡りは疑いの眼差し。『3時頃からバタバタしているの知っていた。あっちのお宅だよ。登山に行く予定があったんだけど、緊張で眠りが浅かったんだ』等々少し話したら納得してくれたようで、面倒になる前に帰ってくれた。で、着替えて、装備背負って、車庫の車に荷物載せて、運転席に座ってエンジンONしたら、目の前にあるDVお宅の3階の窓から、こちらを見るお母さん。『あっ、俺が通報したと思われたな』ある意味事件から始まった登山だった。その日の最後も道迷いの遭難擬きがあったから、終始事件な日だったのでした。

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