『朝』

「起きなさーい!遅刻するわよ!」

もう少しだけ。あと5分寝かせて。
まどろみの中、布団を頭のてっぺんまで引き上げる。
グズグズしていると、母が
布団を勢いよくひっぺがしにくるのは分かっている。
それでも睡魔には抗えず、起き上がることはできない。

"ピピピッ!ピピピッ!ピピピッ!"

枕元の目覚まし時計が大きな音を立てる。
寝ぼけながら手を伸ばしてアラームを止める。

朝だ。
昔の夢を見ていた。早起きが苦手だった子どもの頃の夢。夢の中でも眠っているなんて、私はどれだけ寝ぼすけなのだろうか。笑ってしまう。

「さあ、起きよう!」ベッドから抜け出し、
朝の支度を始める。身支度を簡単に整えて、
朝ごはんの準備に取り掛かる。
ああ。もうこんな時間。

「起きなさーい!遅刻するわよ!」

今は、私が母と同じ口調で布団をひっぺがしている。

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