『のっぺらぼう』

 あるとき、不細工な女の子がいました。
 女の子はそれはそれは不細工で、いつも皆からいじめられていました。
 そこで女の子は、大人になったら整形で美人になってやると決意しました。
 望みは叶いました。今まで女の子を軽蔑していた男達が、足の骨を抜かれたようにフラフラとこちらに近づいてくるようになりました。
 女の子は笑いました。とても笑いました。しかし段々飽きてしまいました。しかし女の子はもう二度と元の顔なんて戻りたくありません。
 そこで女の子は、顔のパーツをやすりで削り、のっぺらぼうになることにしました。
 今までゾッコンだった男達は皆蜘蛛の子を散らすように離れていき、女の子の手元には平穏だけが残りました。
 女の子は遂に訪れた平和に笑おうとしました。しかし笑えません。口のパーツがないからです。女の子は急に悲しくなって泣こうとしました。でも泣けません。目のパーツがないからです。
 女の子はのっぺらぼうも駄目だったと悟ると、今度は体中を削って、遂には石となり、道端を転がるようになったとさ。

この短編小説にはまだコメントがありません。
ぜひ一番最初のコメントを残しましょう。