『学生最後の夏』

八月の青く満たされた空に不確かな未来を描きながら、ラムネ瓶を片手に僕は街を歩いた

駄菓子屋の横を抜けてバス停の横を通る

真新しい建物がやたらと目に入った

小鳥がさえずり、風は吹く

昔から変わらず生きていたつもりだった

でもそんなものはまやかしで、何時だって変化していく

街角の小さなゲームセンターは潰れて、みんなで遊んだカードショップも無くなっていく

変わらずに生きていけなくなる

それが何よりも怖くて、何よりも見たくなかった

それでも生きていかなきゃいけないから騙し騙し歩いている

「本当に変わってしまったのは僕の方なのかもな」

空に座る入道雲にラムネ瓶を重ねながら、子供の頃に見たあの景色をいつまでも眺めていた

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