『鏡の国の野蛮な奴ら』

その鏡は部屋の中で燦然と輝き、そして存在するだけで部屋が華やかになった。
私は吸い込まれるように鏡の前に立って、鏡に私の存在を教える。
美しい壁掛け鏡がおばあちゃんの部屋にあって、その鏡は私に時間の存在を忘れさせた。
「鏡を見すぎると、野蛮な鏡の国住人が玲香を連れ去ってしまうよ。」と言うのが、おばあちゃんの口癖で、私はこのおとぎ話のような言い伝えが大好きで、私はこのお話が聞きたくて何度も鏡の前に立った。

おばあちゃんが亡くなり、もう6年くらい経っても、このおとぎ話は私の脳に鮮やかな入れ墨のように刻まれている。
「いつまでも鏡ばかり見ていないで、早くした支度しなさい。」お母さんが私に言った。
私は「鏡の住人が私をこの世界から連れ去ってくれないかな。」とからかうように言うと、
「もう中学生なのに、いつまでそんなおとぎ話を信じているの。」とお母さんは口調を強めに怒りながら私に言う。
「お母さんはおばあちゃんと仲良くなかったから、私がおばあちゃんの話しをするのが面白くないんでしょ。」と言って私は学校に行った。
その日の夜、お母さんとお父さんに怒られ、意気消沈していた。
「こっちにおいで。」おばあちゃんの声がした。
私はほぼ物置きになっている鏡のある部屋に行った。
鏡の前に立つと、鏡は割れて美しく輝く破片が私を包むように周りに浮遊して、私はまばゆい光が私の目を襲い、私は目をつぶった。
目を開けると、そこには広大な草原が広がっており、私はうれしくなり走り出した。
そこは排ガス混じりの空気はなく、空気が美味しと言う意味を初めて体は知った。
鏡の国は素晴らしのだと、空気に言われている気分だった。
街に入ると、白とグレーのモノトーンで統一された木組みの家が建ち並び、街の外観はまさに想像する童話の世界を現実にしたみたいだった。
「鏡の世界に私は来たんぞ。」と心の中で叫んだ。
通り過ぎる人々は私をもの珍しく見ていく、私の服装はこの街では浮いていた。
街の人々は布や皮製のブラウスを腰の周りでベルトで締めた服装の中に、私の服装はあまりにも現代すぎて、この世界の人間ではないというを服装で表現していた。
「アイツなんかおかしいぞ。」や「おい、変なやつが歩いているぞ。」などの言葉が通り過ぎる人々が言い、近づいてきて直接触ってくる人もいて、私は鏡の国は素晴らしいという解釈を速攻で撤回した。
そして私はカシャカシャと不愉快な音を立てて歩く甲冑姿の兵隊に連れて行かれた。
甲冑姿の兵隊達は私を立派なお城に乱暴に連れて行き、私の体は童話の世界で見たお城に入れる興奮の空気と物騒な甲冑姿の兵隊に両腕をガッチリとロックされ発生した不愉快の空気が体中を循環した。
連れて行かれた先には、大きくな玉座に座る王様がおり、サンタクロースみたいな髭を蓄え、無数の宝石が埋められた王冠に、天使の翼のような純白の丈の長いチュニック、そして目に焼き付くような鮮やかな真紅のマントを着ており、その服装は閃光のように目に刺さり身分の差を一瞬で理解した。
「変わった服装の女、そこに座りなさい。」と私を指差し王様言った。
甲冑姿の兵隊が私を無理やり、マグマのように赤い絨毯の上に座らせた。
「お前はこの国の者ではないな。」と王様は私を見下し言った。
「もしこの国の者、いやこの世界の者ではなかったら、私をどうしますか王様?」と少しあざ笑いながら言った。
「貴様の世界の話が聞きたいと言ったら、聞かしてくれるか?」
「嫌だと言ったら、私を殺しますか?」
「もちろん、私は話しを聞きたいんだ。話しをしない貴様を生かしておく必要がないかならな。」
「そうですか、私の世界ではこの姿が一般的で、あなたのような格好の人はいないし、こんな物騒な甲冑姿の奴らもいません。こんな立派なお城や美しい街並みも見れる人間は限られている。こんな話しを信じていただけますか王様。」と私はふてくされながら話した。
もうどうにでもなれと思い、私の眼前に座るおそらく身分の高いお方に正直に投げつけた。
「それは誠か、本当にそんな世界があるのか。」と王様は勢いよく立ち上がり、珍獣を見るような目で見た。

王様は私の住んでいる国を知りたいと言いだし、私は王様の食事に同席させられた。
王様の食事はどうかしていた。
20mくらいの長方形の机には豪華な料理が所狭しと並べられ、料理は鮮やかな色彩や飾り付け、見慣れない食器や燭台は私を視覚的に楽しませ、好奇心を揺さぶった。
周りにはずいぶんと高価な服装を着た、おそらくこの国の身分の高い奴らが周りに集まり、私は動物園のパンダの気持ちがわかった。
「貴様の国ではパンはあるのか?」おそらく身分の高い奴がパンを指しながら言った。
「あります。お金が必要ですけど。」
「じゃあこのワインはあるのか?」おそらく身分の高い奴がグラスを指で指しながら言った。
「ありますよ。でも私は未成年なので飲めません。」
「そうなのか。そうなのか。」おそらく身分の高い奴は嬉しそうに頷き納得しているようだ。
そんなくだらない話しをしていると、王様が「どうやってここに来たのだ。」と言った。
私は話したくはなかった。
鏡を見ていたら鏡が割れ、破片が私を包み、光が眩しくて目をつぶったらここにいた。
こんなメルヘンチックな話しを、一歩間違えれば殺させる立場の私が言うにはリスクが高すぎる。
「そんなに言いにくいのか?」と王様が言い私は焦った。
王様の言葉はを私の背中を押し、私は崖から落ちていく気分で全てを話した。
「そんなことがあるものか!!」王様は驚愕している。
私は完全に殺されると思った瞬間、「本当にそうだとしたら、私に見せてくれその鏡を。」と王様が言い、私達は鏡のある場所に行くことになった。
その鏡を見ると王様は、「ここから来たのか、この美しい鏡は貴様の世界につながっているのか。」
「そうです。繋がっています。」
「じゃあ戻るところを見せておくれ。」
私は好奇心でキラキラとダイヤモンドのように光る王様の目を見て、「できない。」とは言えなかった。
私は奇跡を信じた。
鏡に私の姿を映すと、鏡の割れて美しく輝く破片が私を包むように周りに浮遊して、まばゆい光が私の目を襲い、気がついたら元いた世界に戻っており壁掛け鏡は消えていた。

その頃、私が消えた鏡の世界では「あの娘はどのくらいの人数を殺すと思う?」王様が誰かと話している。
「最低でもあの娘の街は全滅です。」とそこには6年前に亡くなったおばあちゃんがいた。
「記憶を改ざんし、あっちの世界の技術じゃ治せないウィルスを持ち帰らせた。私達をこの狭い鏡の世界に追いやった野蛮な奴らが苦しむ姿を早く見たいな。」
「そうですね。やっと私達は世界を取り戻せる。わざわざこんな童話のような不便な街を造ったのですから、どんどん間抜けな子どもたちにウィルスを持ち帰らせましょう。次のターゲットがそろそろ来ますよ。」

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