『正義の味方タイガーマスク』

 寒い寒いと凍えていると、突然業務用の固定電話がなりました。電話口の向こうで“私は伊達直人だ”と名乗りました。はて?と思いご用件を伺うと、伊達さんは山師をやったり、新宿でタイガーマスクをやったりして、羽振り良く楽しい人生を送っていたのですが、此処の所の豪ドル投資(FX!)に失敗して、すってんてんになってしまったとの事でした。一人ならなんとかやっていけそうだが、接待で知り合ったコンパニオンとの間にできた赤ん坊がボトルネックで、どうしたものかと悩んでいました。ひょっとして間引きなんてことも考える寸前に、私に電話をかけてきたのかもわかりません。
 そこで私は、“もしかして以前孤児院に大金寄付したことが御座いませんでしたか?”と尋ねました。彼は以前は気も大きくなっていて、そういったことをした覚えがある、と答えてくれました。それでは答えは簡単と、その孤児院に子供を郵送してこう手紙を付け加えました。
 「私は伊達直人である。この子は伊達直人Jr.である。以前に金は払ってある。成人まで何卒良しなに‼︎」
 多分めでたし!

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