『アポロ11号』

「じゃあ、例えばきみのこころが宇宙だったとして、どこまでも広がり続ける闇とするならば、ぼくはその中へ飛び込んでいくロケットみたいなものだね」

得意気に照れもせず、真っ直ぐな瞳でこちらを見る。
彼は、言っていることがいつもポエムちっくで、どうしても笑ってしまう。
でも、心の底から本気で言っているのをわたしは知っている。

「なんで笑うのさ」

ふてくされて、ぶすっくれたその唇に、はにかみながらキスをした。

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