とあるよく晴れた日のことです。一本の紫色のニンジンがおりました。
暖かい日の光を浴びながら、ニンジンは柔らかい土の中からちょこんと顔を出しておりました。太陽に温められた土の中では、お友達のミミズくんが気持ち良さそうに寝ています。ニンジンはミミズくんを起こさないようそっと、遥か遠くの空に輝く太陽に声をかけました。
「太陽さん、太陽さん」
「なんだいニンジンさん」
ニンジンの小さな声に、太陽の暖かい大きな声が応えます。
「わたし、あなたみたいになりたい」
「なぜだいニンジンさん」
「あなたの色が好きなの。鮮やかなオレンジ色で、わたしの気持ちの悪い紫色とは大違いだわ」
太陽は優しく微笑みながら、そんなことはないよとニンジンに言いました。
「僕は空から全てを見ているけれど、夜空を見たことがない。君の色は、美しい夜空の色をしていると聞いたよ」
「美しい夜空…」
ニンジンは憧れの太陽に褒められ、暖められ、ついには照れてオレンジ色に染まってしまいました。
「おや!ニンジンさん、太陽さんと同じ色をしているねえ」
いつの間にか起きていたミミズくんが、土の中から顔を出して驚いたように声を上げました。
輝く太陽はにっこり笑いました。
「本当、僕と同じだね」
>はむまっくすさん、コメントありがとうございます!初コメント嬉しいです! あたたかさ、がテーマでしたので、ほっこりしたというご感想、とても嬉しいです。ぜひ子供たちにも読んでいただきたいですね。
子ども達にも読んでもらいたいなぁとお話が暖かくてほっこりしました!