『モンシロチョウ』

頭が痛い
昔から僕は気分が優れないと
頭が痛くなる

社会人2年目

僕は仕事が極端にできない

上司からはもっと頭を使って
仕事をしろと怒鳴られるが
それが難しい

それでもなんとか頑張ってきたけど
今日はそうはいかなかった

仕事中胸が熱くなり激しい頭痛
が襲ったからだ

上司は体調が悪いなら仕方がないと
割とあっさり帰してくれたが
なぜかすっきりしない

仕事を休んでしまったからではない
これは危険だ

なぜかそう思っている自分がいる
この気持ちはいつ以来だろう

よく覚えていないが
きっと初めてではない気がする

会社から駅までは徒歩10分ほどだ
いつもは帰る途中にスターバックス
によるのが僕の日課だ

母がコーヒーを飲むのが好きで
子どものころから
よく連れて行ってもらった

コーヒーは昔から飲めないが
スターバックスのあの落ち着いた雰囲気と
キャラメルフラペチーノがお気に入りだ

しかし今日は立ち寄ろうとは少しも思わなかった
一瞬あのスターバックスのマークが目に入った

いつもは特別気にしたことはなかったけれど
あのマークの女の人がとても不気味に感じた

早く帰ろう
駅につき改札を通ろうと
するとビーと音が鳴ってしまった

改札が閉じてしまった
恥ずかしいやつだ

いつもならそのままSuicaを
チャージして終わりなのだが
僕は乗る電車を一本遅らせることにした

駅のホームで電車を待っていると
20代後半くらいのお姉さんが
ハンカチを落とした

そのハンカチを拾ってあげようとした
そのとき
触らないで
たしかにお姉さんはそういった

都会の人は優しい人ばかりじゃないよ

ふと上京するときに母に言われた言葉を
思い出した

駅のホームを大勢の人が歩く
みんな他人には無関心だ

僕は小学生のころから絵をかくことが好きだった

友達が居なかったわけではなかったけど
休み時間の間はずっと絵を描いていた

あるときいじわるなクラスメイトが
僕の絵にわざと水をかけた

なにするんだと怒りたかったが
僕はそれをしなっかった

あいついつも虫の絵ばっか描いているんだって
気持ち悪
ほんと変わってるよね

教室に悪い声がこだましているのが
聴こえた
一度だけ仲のいい友達に
助けを求めたことがあった

帰ってきた返事は無視だった
家に帰ると母が僕を見た

どうしたの?
涙が止まらなかった

母は僕を黙ってだきしめてくれた
とても暖かった
そこから僕は学校にいかなくなった

申し訳ございませんが電車が
遅延しております
もう少々お待ちください

ホームにアナウンスが鳴り響いた

僕はいつもカバンに入れているスケッチブック

を取り出した

そういえば最近は風景の絵ばかり描いていたな
色鉛筆を使ってモンシロチョウを描いた
アゲハ蝶ではないカラフルなモンシロチョウだ

書き終えた時なんだか涙がでてきた
お待たせしました電車が間もなく到着します

曇った眼をこするとひらひらとモンシロチョウが
飛び立とうとしている
あーお前も自由になりたいんだな

僕はそのモンシロチョウを優しく包み込んだ

電車が到着します
危ないですから黄色い線からなかへはいらないでください

思い出したそういえばあの時もカラフルなモンシロチョウを
書いていたな

ビルの間を歩く人間を
やっぱり好きにはなれない

この短編小説にはまだコメントがありません。
ぜひ一番最初のコメントを残しましょう。