『事件簿No.9 ほにゃらら幸子』

 ちょっと前のことです。私が仕事で軽井沢へ行き、用を済ませて電車代をケチろうと、高速バスの待合室へ入って行った時です。20名ほどの学生がいました。私が入って行くと、その中の内の好青年が、私に話しかけてきました。
 「あなた、探偵のジャスさんんですよね?」私はそうだと言い、要件を訪ねました。
 「幸子という女性を探しているんです。」「一緒に軽井沢に来たのにいなくなってしまって・・・。」
 すると友人の学生が彼に声をかけて来ました。
 「彼女は君を捨てたのさ。」
 「君には高嶺の花だったのさ。」
 「君は彼女を恋人だと思っていたにせよ、彼女の方はどうだったのかな?」
「追いかけるだけ無駄さ。」などなど。
でも、その好青年は必死で、彼女の苗字は伏せますが、ほにゃらら幸子さんの住所と、電話番号を私に渡し、どこにいるか探してほしいと依頼して来ました。青年の話によるとあと1週間ここで足止めをくっているとのことでした。1週間後の夕方4時にここに結果を持って来てほしいとのことでした。私はちょっ強引だなと思いつつも承諾し、1週間後にここで会う約束をしました。 
 早速オフィスに帰り、私のシンジゲートを使って、ほにゃらら幸子さん探しを始めました。案外、すぐ見つかるというか、書かれた住所に普通に住んでいて、今、OLをしているとのことでした。
 1週間後、約束の場所に戻り、その旨を伝えると、彼はホッと安堵の表情を浮かべました。そこへいきなり霊柩車型のバスが空から舞い降り、学生を全員乗せ終わると、宵の明星へ向かって飛び立って行きました。
 腰を抜かしましたが、後で調べた所によると、彼らは、軽井沢バス転落事故の犠牲者で、幸子さんは奇跡的に助かった生存者だったのでした。オー、マイ、ゴッド。

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