『林檎』

三日くらい前だった
「林檎が食べたい」
なんだかものすごく林檎が食べたくなった
早速冷蔵庫から出して洗う。とても美味しそうな真っ赤な林檎だった。
「ていっ」
何となく林檎にグサッと包丁を突き刺してみる。
『ぼこっ』『ごぼぼっ』
まるで岩の間から湧き出る水みたいな音だった。
恐る恐る包丁を抜く。すると赤黒い液体がごぼごぼと絶えることなく沢山、沢山出てくる。
「うわあああああああああああああ!?」
思わず包丁を持ったまま尻もちをつく
『ごぽごぽ、、、うふふ、、ごぼぼ』
『うふ、、、うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ』
切り口の隙間からギョロっとした目玉がコチラを覗く。
林檎のような『それ』は女の声で狂ったようにいつまでも、いつまでも笑っていた。
それから怖くてキッチンに入れない。

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