『事件簿No.10 現実との境界線』

 暇をしていると、懇意にしているユニバーサル警備保障さんから連絡がありました。2号警備の隊員の一人が下着泥棒をやらかしたというのです。至急現地の警察署に行って、内容を聞き取り被害者によく謝罪に行き、ことを穏便に済まして欲しいとの事でした。新聞にでも乗ったら大騒ぎです。
 早速、警察OBの山本本部長さんと現地に向かいました。道中、山本さんは既遂か未遂かエラく気にしていましたが、警察署の担当刑事に問い合わせたところ、既遂でした。
 加害者の隊員とは話ができませんでしたが、警察の話によると、動機は好きで夢中になっているエロ小説と現実がごっちゃになってしまい、警備時間中にもかかわらずやらかしてしまったとの事でした。
 早速その足で菓子折を買い、被害に謝罪をし、帰宅しました。クライアントの土建屋さんには後ほど、ユニバーサル警備保障から謝罪を入れるとの事でした。
 簡易裁判所で行われた裁判では、検察の求刑より大分軽い罪ですみました。めでたし、めでたし。たまには、実入りになる仕事もしないと・・・。

 注、この話は実話を元にしたものです。が、チョッと違います。その後、謝りに行った山本さんは、土建屋と話をこじらせてしまい、上のマネージャーが遠くの本社まで、謝罪をしに行ったそうです。
 

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