『消失』

 吐き散らかした錠剤と噛み殺した言葉に一過性と名付けたのならその沈痛作用は頭のなかで死んでいくのだろうかと空気の中を泳がせる。

 意識が浮いたら耳が痛い。

 昨日何をしたかを思い出せない、そうねぇあの日君は血反吐に溺死してしまったのよと静脈から鳥肌が立つ。此処は何処其処白痴が透明。足元に自然体で転がっている。

 景色が死んだら目が見えない。

 また戯れ言に泣きそうになったの、根拠もないのに嚥下した喉触りがざらざらして嘔吐いて過呼吸に染まっていくその苦しみにもがいた痕跡があるじゃないか、君は何を言いたかったの、今や酸素と変わりがないけれど、自然現象に塩分が過度。小指ぶつけて神経過敏症。

 ねぇ突っ立ってどうしちゃったの。
 黙って立って泣いているのよ。
 遺棄した貴方に意味はあったの。
 多分死ぬほどなかったの。

 静かに聞いて、その息の根を。血液が赤いのは嘘ばかり。コーヒーにして飲んじゃいなさいよ、また痞て麻痺してしまうから。薄情は白じゃない。薄汚れてる曇りのように。

 息を吸って、さあ吐いて。

この短編小説にはまだコメントがありません。
ぜひ一番最初のコメントを残しましょう。