『絶望戦線』

腹の底に響き渡る爆音と銃弾飛び交う戦争が、今日終わった。
利権を巡り始まったこの世界中を巻き込んだこの大きな戦争は、ようやく終わったのだ。
地球の半分近くを不毛の土地にして、水を濁らせ、空を汚染したこの戦争で、一体誰が得をしたというのだろう。
俺達兵士は一体なんの為に戦ったのだろう。
「こんなんじゃあいつらが報われねえだろ」
掠れた声で呟くと、仲間のタグを握り締める。
全ての陸と海を飲み込み、あまつさえ空をも飲み込んだ人は、傲慢にも星すら飲み込もうとした。
これは罰なのかもしれない。
そう思わずにはいられなかった。
「なんてザマだよ。クソッタレが」
そう言うと腰のホルスターから拳銃を取り出すと、自分の頭に突きつける。
少しして、一発の乾いた破裂音が戦場に響き渡った。

この短編小説にはまだコメントがありません。
ぜひ一番最初のコメントを残しましょう。