『春眠』

僕は仰向けで地面に転がっていた。
遠くに聞こえるは人の呼び声と悲鳴。
だけど耳がよく聞こえないんだ。
重いまぶたを開くと、昔見たあの空が見えた。
空に浮かぶあの雲に乗って、風のゆくままに旅をしてみたい。
やけに綺麗な空を見ながらそんな事を思った。
誰かが僕の身体を揺さぶりながら何か言っている。
起き上がらなきゃいけないのは分かっているのにどうしようもなく眠いんだ。
僕はまぶたを閉じると、土の匂いがする空気を胸いっぱい吸い込む。
もうすぐ夏が来る。
それまで少し眠ろう。

この短編小説にはまだコメントがありません。
ぜひ一番最初のコメントを残しましょう。