『凍りつきそうだ』

俺は冬が嫌いだ。
とても寒くて心まで凍りついてしまいそうになるからだ。
あの無機質な空を眺めていると、まるで吸い込まれてしまうんじゃないかと不安になる。
「早く春が来ねえかな」
白い息を吐きながら呟いた。

空に消えた白い息が、やけに寂しく感じる。
きっと俺がいなくなっても、この凍えるような寒さはなくならないのだろう。
こんな賭け事にも似た人生に、一体意味はあったのだろうか。
「程々にしないとな」
寂しさにも似た感情を押し殺し、俺は眠らない東京の街へと駆け出した。

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