『Summer』

八月の強い日差しの中、僕はバス停で君の横顔を眺めていた。
「みんな遅いね」
君の額に流れる汗が、太陽に反射する。
「そうだね」
そう言うと、僕は君の小さな手を握って立ち上がる。

だけど君の顔を真正面から見ると、怖気付いて簡単な二文字を言えず、いつものように言葉を胸にしまう。
「みんなのこと見に行こ」
気を取り直すように言うと、君は真っ直ぐな眼で頷き、僕の手を引っ張る。

「行こう」
繋いだ手を強く握り直し、僕達は駆け出した。
短い夏よ、このまま終わらないでいておくれ。

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