『忘れる』

僕はなんの為に生きているんだっけ。
そんな事はもうとうに忘れてしまったな。
「このまま何もかも全て忘れてしまいたいな」
朝焼けの街に僕は呟いた。
僕だってもう子供じゃないから、上ばかり見上げてちゃ生きていけない。

「そんなの君らしくないよ」
いつもの聞き慣れたあなたの声が聞こえた気がした。
あなたはいつだって僕の背中を押してくれる。
どんなに離れていても、弱気になった僕に喝を入れてくれるんだ。

「もう少しだけ頑張ってみよう」
ふっと笑うと、朝焼けの街を再び眺めた。
少しだけ、忘れていた何かを思い出したような気がした。

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