『大戦争』

あの夏の日に全てが終わった。
何もかもが終わったのだ。
ラジオから流れる音声を聴きながら俺は思った。

一体どれだけ失ったのだろう。
どれだけ奪い去られたのだろう。
どれだけ見捨てたのだろう。
両親、兄弟、親友、愛する妻、今や誰も居なくなった。

焼け焦げた街並みが一層寂しく思える。
「俺達はなんの為に戦ったんだよ」
空には、抜け殻のような人生を嘲笑うかのように爆撃機が幾つも飛んでいた。
耳をすますと、西ノ海からあの国の軍靴の音が聞こえてくる。

まだなったばかりの8月の空は俺達の心と体をへし折っていった。

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